「紙博 in 京都」出展
「紙博 in 京都 vol.5」に出展します。
岐阜県美濃市の手すき和紙専門店
かつて生活のいたるところに和紙は存在していました。和傘の素材、提灯の火袋、花を包む花合羽、そして障子紙、襖紙、近代的なところでは謄写版原紙やコーヒーフィルターなど。日本の文化は和紙を利用することで成り立つものが数多く存在していました。しかし、それらの多くはより高機能な他素材に置き換えられ、また利用されない道具となり、現在に至っています。「カミノシゴト」は1300年の伝統に培われた和紙をリデザインする事で、現代の生活の中でも身近な素材として多くの人々に楽しんで貰える製品づくりを心掛け、サスティナブルな社会を目指しています。和紙を次世代に繋げることを目的として美濃和紙の職人達と共に作られた製品に「カミノシゴト」の名前が付けられています。
「カミノシゴト*」は次世代に美濃和紙の真髄である手すき和紙を継続するために、佐藤眞富氏をプロデューサーとして美濃和紙ネットワーク21と呼ばれた若手の和紙職人達と共に2002年から5年間に渡り新宿OZONEなどで開催された企画展につけられた名称でした。この企画展は2006年に新領域デザイン部門においてグッドデザイン賞を受賞しています(http://www.g-mark.org/award/describe/32890)。
同時進行する形で現在の岐阜県美濃市相生町において職人達の展示会の拠点として2003年に「カミノシゴト」はオープンし、2007年頃からは職人たちが自ら運営するアンテナショップに生まれ変わりました。その後、2012年からは協同参画していた一社である「家田紙工株式会社 ∗ 」に運営主体を移管し、美濃手すき和紙の職人と共に歩む和紙のお店として現在に至っています。
∗「カミノシゴト」は登録商標です。第4916555号
∗ 家田紙工株式会社は美濃和紙ブランド協同組合、岐阜県紙業連合会および岐阜県スクリーン・デジタル印刷協同組合の会員です。
カミノシゴトでは製品の開発を和紙づくりから始めます。例えば水うちわに使用される雁皮紙においては、美濃の職人たちの中でも極薄の和紙を漉くことが得意な澤木健司と倉田真の2名が水うちわの本紙を製作しています。水うちわにとって重要な美しい透明感を出すために、なおかつ実用に支障のないような強度を持つ和紙の薄さをコントロールできる二人の職人が作っています。
御朱印帳の和紙は加納武と松尾友紀、二人の職人が担当しています。御朱印帳には私たちが「美濃三王紙」と名付けた加納武の漉く和紙が使用されています。和紙の主な原料には三大原料と呼ばれる楮、三椏、雁皮が挙げられます。楮、三椏、雁皮の繊維はその順にだんだんと細く短くなります。出来上がる和紙のイメージは一番太い楮の繊維の隙間に三椏の繊維が入り一番細い雁皮の繊維は楮と三椏の繊維の間に入り込むという感じになります。従って密度の高い隙間の少ない和紙が出来上がります。その効果は薄くても滑らかで墨のニジミが出にくい、尚且つ墨が裏通りし難い紙となって表れてきます。御朱印帳の和紙は袋とじと呼ばれ、表裏に和紙の表と表が向く構造になっています。この構造により、集めた御朱印を切り離して掛け軸にすることも可能になるのです。安価で販売され数多く見られる御朱印帳には木質パルプを原料とした紙が使用されています。保存性も悪く、表具をする掛け軸の製作には向きません。
また、本物の美濃手すき和紙の御朱印帳をよりリーズナブルにご利用頂くために開発されたのが松尾友紀の漉く和紙の御朱印帳です。楮の塵取り作業の手間を少なくし、漉き返しと呼ばれる、本美濃紙などの和紙を漉いた後に漉き舟から排出した楮の残りを乾燥して保存したものを集め、アップサイクルを活用する事でコストダウンを実現しています。
WASHI dECOシリーズでは、緻密で繊細な造形の表現を可能にした保木工房と家田紙工株式会社の技術のコラボレーションから生み出された透かし和紙が使用されています。透かし和紙の制作には製作時に型が必要になります。その型の制作を家田紙工が担い、和紙の漉きを保木工房が担当し、お互いに製造時の情報をフィードバックする事で、類を見ない繊細な表現を可能にした透かし和紙を生み出しています。0.8㎜の太さの線までを表現する、保木工房から生み出される透かし和紙は、水だけでガラスに貼る事ができる雪の結晶の形をしたウインドーデコレーションとしてSNOWFLAKEを代表とするWASHI dECOシリーズや窓から幸運を呼び込む「NATURE+」シリーズ(2018年秋発売予定)等に採用されています。
本美濃紙(honminoshi)のアクセサリーは、本美濃紙保存協会会員である倉田真と家田美奈子、2名の漉く本美濃紙が使用されています。本美濃紙とは1969年に国の重要無形文化財として指定され、その後、2014年にユネスコの世界無形文化遺産として登録された技法に則って作られる和紙の事を指します。この和紙の製造には厳格な規定があり、本美濃紙と呼ぶことが可能な和紙を漉くことが出来るのは5名の本美濃紙保存会会員だけです(2018年1月現在)。那須楮の優れた性質を持つ平滑できめの細かい本美濃紙は透過光が美しく、障子紙として発展を遂げてきました。その和紙の特徴は折り紙の用紙としても優れています。カミノシゴトでは本美濃紙の折り紙を製品化し、同時にそれを素材としたアクセサリー類も制作をしています。本美濃紙を使えば折り目が綺麗で透明感のある小さな折り紙を作る事が出来ます。さらに、より美しく仕上がる折り紙用の和紙を追求してコルソヤードでは本美濃紙の原料配合を変えました。より複雑な折り紙を制作するためにはより薄い和紙を作る事が出来る雁皮の力を借りるのが賢明です。丁度良い楮と雁皮の配合比を考案する事で製作されたのがOrigami jewel金魚です。金魚の折り方はコルソヤードに所属する有澤悠河によって考案されたオリジナルです。有澤悠河は自分の作品の制作に納得が出来る和紙を作るためにコルソヤードに弟子入りしました。師匠の澤木氏と折り紙の達人でもある有澤氏の二人が複雑な折でも金魚の形を保ちながら水うちわに近い透明感を求めて本美濃紙をしのぐ和紙を開発しています。この和紙は高橋理子氏デザインの鶴の折り紙のアクセサリーにも採用されています。
下のバナーをクリックいただくと「手すき和紙のつくりかた」「和紙の原料って何?」の資料をダウンロードしていただけます。ご自由にご利用ください。なお、ご利用される場合には必ず資料制作者「大滝國義 & カミノシゴト」の表示をお願いいたします。
カミノシゴトの製品に使われる全ての和紙には原料の内容と誰がどこで漉いたものかをお答えできるトレーサビリティがあります。